お悩み相談

高齢者の方の心療内科

高齢者のこころの不調

高齢者の方のこころの不調

高齢者の方のうつ病の特徴

高齢者の方のこころの不調のきっかけとして、健康への不安があります。年齢を重ねると、重い病気になっているのではないかと誰しも心配になるものです。このため、些細なからだの不調に敏感になりやすくなっています。高齢者の方のうつ病は、体の病気に対する過剰な不安や恐怖から始まることが典型的です。このため、最初はかかりつけの先生のところを受診されることが多いです。そして、症状に応じて検査を受けるのですが、どこも異常が見つからないのです。ただ、本当に大きな病気が隠れていることがあるため、まず内科など身体をみる診療科から受診することは、適切な受診のあり方だと思います。しかし、異常が見つからないとき、患者さん自身困ってしまいます。ここでこころの不調であることが理解できれば、心療内科・精神科への受診につながりますが、高齢者の方は若い方と比べて受診に偏見を持っていることが多いため、治療につながらず、そのまま病状が悪化することがあります。特に男性高齢者の方は自殺の危険性が高く、年齢を追うごとに自殺率が高くなります。このため、患者さんが信頼を置いているかかりつけの先生との連携が重要となります。高齢者の方では、薬物療法により副作用が容易に出現しやすく、すべての向精神薬の作用機序・副作用・相互作用を熟知した上で処方することが必要です。このため、適切な治療を行うためには、専門科を受診していただく必要があります。ご家族の方は、あまり『精神科への受診』などはっきりした言葉で説明せず、『こころの不調』や『神経の病気』が隠れているかもしれないので『相談してみよう』など受診を促すことが必要となります。

尚、何日も食事がとれておらず、点滴治療が必要であったり、動けなかったり、自殺念慮(死にたい気持ち)が切迫したりしている場合は、入院設備のある病院への受診が必要です。

孤立を防いであげることが大切

高齢者の方がこころの不調を呈しやすい原因の一つに孤立があります。孤立して、話し相手がいなければ、誰しも不安になります。

できれば、ご家族が定期的に連絡を取り合ったり顔を合わせて様子を確認したりすることが望ましいかと思います。難しい場合は、地域のコミュニティに参加したり、近所の方と親しくしたり、友人の方と話をするなどして孤立しないように促し、環境を整えてあげることが大切です。

もしかして認知症かも? 

高齢者の方が、同じことを繰り返し話したり、忘れっぽくなったりしたと感じたら、認知症の始まりかもしれません。ご家族がそのことを指摘して病院に行こうと誘うと、「自分はまだ元気だから大丈夫」、「そもそも病院嫌いだから行きたくない」と言われて、口論になることがあります。しかし、認知症は早期発見・早期治療が大切です。認知症の種類にもよりますが、早い段階で薬物療法を開始したほうが、圧倒的に症状の進行がゆるやかになります。もちろん副作用にも十分に注意することが必要です。受診を拒んでおられるときは、例えば「もの忘れの検査をしてもらおう」、「健康なことを証明しに行こう」と促してみます。また、かかりつけの先生から「物忘れがあるかもしれないね。紹介状出すからこの病院行ってみたらどうですか?」と促していただくと速やかに受診に至るケースもあります。健康だった頃のご両親を知っているからこそ、ご家族としては今までとは違う様子に戸惑いを感じ心配をしますが、反対に無理やり連れていくのもかわいそうといった気持ちを抱くこともあります。受診したほうがいいのか等困ったことがありましたら、地域の相談窓口へ相談してみてはいかがでしょうか。65歳以上の方の相談を受け付けている公的な窓口として、地域包括支援センターや市役所の高齢介護課があります。また、県内にその地域を担当する認知症疾患医療センターがあります。指定を受けている病院が相談窓口や物忘れ外来、情報の発信を行っています。当院では受診前のご家族からのご相談も受け付けておりますので、お気軽に相談されてみてはいかかでしょうか(相談料は自費となります)。

高齢者の方でこころの不調をお感じになられた際は、並木メンタルクリニック西川口駅へお気軽にご相談ください。